久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「精霊の守り人」上橋菜穂子

 正統派の国産ファンタジー。精霊の卵を宿した少年チャグムと、それを守る女用心棒バルサの物語。
 落ち着いた話運びで、少年の成長が丁寧に描かれているのが好印象でした。シリーズ1冊目ということですが、本作だけでも非常にきれいにまとまっていて、満足度が高いです。
 この手のお話だと、敵対する貴族や、新しい文明を享受する側は必要以上に愚かに描かれてしまうことが多いのですが、本作はそういったこともなく、公平にバランスよく描かれていることも良かったです。安易な自然崇拝にも、文明批判にもなっていないのが素晴らしい。
 派手なライトファンタジーが好きな人にはちょっと物足りないところがあるかもしれませんが、ファンタジー好きは一度読んで損は無いと思います。

精霊の守り人 (新潮文庫)

精霊の守り人 (新潮文庫)