久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「Sonny Boy」

 ある日突然、校舎と共に、異世界に送り込まれてしまった中学生たち。そこから、不可思議な世界を漂流していくことになった彼らは、やがて残酷な真実を知ることになるのだが……といった感じのお話。一応ネタバレがありますので、まだ見ていない方はご注意下さい。

 独特な演出と展開が面白い、SFジュブナイルアニメでした。実験的な描写も多く、昔の少年向けSF作品のような雰囲気もありましたね。気弱で、物事に積極的に関わろうとしてこなかった主人公の少年が、不可思議な漂流生活と残酷な真実、他の少年少女たちとの別離等を通じて気持ちが変わり、わずかだけど確かに成長していくお話。

 最後、主人公の少年と一人の少女は現実世界へと帰還していくのですが……戻った世界で何かが大きく変わったわけではなく、一気に大人になれたわけでもない。現実はままならず、漂流生活すら本当にあったことなのかわからなくなってしまいそうになりながら……それでも、自分たちは確かに生きていて、人生はまだ続いていくということを受け入れていく……ほろ苦く、切なさも感じさせられるような終わり方で、でも個人的にとても好きな終わり方でした。

 描かれていたことのすべてを理解できたわけではありませんが……1クール、毎週続きが気になり、大変楽しめました。こういったSFアニメがこれからも作られてくれるといいなぁと思ったりもしました。