久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「BLUE REFLECTION RAY/澪」

 少女の思いの結晶である「フラグメント」。それを奪うことで皆を思いから解放しようとする少女たちと、その思いを守ろうとする少女たち。彼女たちの悩みや葛藤、思いを巡る物語。

 能力者同士が変身して戦う異能力バトルものの一種ですが……戦いよりも、悩みながら生きている少女たちの思いを描くことの方に重きが置かれている作品でした。異能力を使って戦うシーンよりも、主人公たちの日常や、対話を描くシーンの方が多い感じでしたしね。

 相手を大切に思うあまり却って相手の気持ちに気づかなくなってしまったり、大切にする気持ちが執着になって苦しみが生まれてしまったり……思いがあるからこその苦しみを描き、それを守ろうとすることはむしろ身勝手なエゴなのではないかと問い……それでも思いを守り、相手に届けようとすることの価値を描こうとしているお話だったようにも思います。

 キャラクターデザインや演出にはちょっと癖があり、アクション面では物足りないところもありましたが……テーマとその描き方は非常に真摯なもので、個人的にはすごく好きな作品でした。彼女たちの物語を見届けることができて良かったと思います。