久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「天王寺さんはボドゲがしたい」第4巻

 女子高生ボードゲームコミック、最終巻。一応ネタバレがある感想になりますので、まだ読んでいない方はご注意下さい。

 一方的にライバル視している天王寺ユリアと対等な勝負がしたくて、ボードゲームを遊ぶ部活に入った南森ゆき。ユリアや部の先輩たちと遊ぶうちに、ボードゲーム自体の魅力にも惹かれていくことになるゆきだったが、ユリアに対してはどうしても素直な気持ちになれずにいた。そんなゆきは、他校との交流会の後、遂にユリアと二人用のゲームで対戦することになるのだが……といった展開。

 ボードゲームを題材にしたコミックであり、一人の少女の小さな成長を描いた部活青春物語でもある作品。一人のクラスメートをライバル視し、彼女に対してどこか鬱屈した気持ちを抱いていた主人公が、ボードゲームを通していろいろな人と触れ合い、真剣に遊び、また勝負することで、自分の心と向き合い、気持ちを整理していく様子が丁寧に描かれていました。ボードゲームを一緒に遊ぶことで、相手の気持ちに触れたり、意外な一面を知ったり……同時に、ゲームに勝つために真剣に考えることが、自分の心と改めて向き合うきっかけにもなっていって……ゲームを遊ぶ体験と主人公の気持ちの変化がきちんと繋がっているので、読んでいて自然と感情移入ができ、最後はしみじみと「良かったなぁ」と思えました。

 キャラクターの表情がころころと変わり、そのやり取りも楽しくて魅力的でした。人見知り故に普段はクールっぽく見えてしまうユリアの、ゲームをしている最中のコミカルな様子が特に可愛かったです。

 全4巻の中で、いろいろな種類・ジャンルのボードゲームが登場していて……ボードゲームをあまり知らない人への入門書的コミックとしても良い作品になっているように思えました。ルールの説明も分かりやすく、遊んだときの雰囲気も伝わってくるようになっていて……読んでいると、自然とそのゲームで遊びたくなってきてしまいます。

 総じて……全4巻、キャラクターの可愛さと共にボードゲームの魅力も感じられる、とても楽しいコミックでした。