久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「スーパーバニーカンパニー」ソロプレイ

 すべての動物がバニーガールになってしまった世界で、より多くの社員(バニーガール)を雇用し、そのBP(バニーポイント)を競い合おう、といった感じのゲーム。ソロプレイもできるということで、遊んでみました。以下の説明・感想は、ソロプレイ用のルールのものになります。

 ソロプレイのルールでは、ゲームカードの中から、自由に二十枚のカードを選び、それを自分のデッキとしてゲームをプレイします。二十枚のカードをシャッフルし、最初の手札として五枚を抜き出し、その中から一枚を「研修生」の列の目印として裏向きのまま場に置きます。残り十五枚のカードは五枚ずつにわけ、山札を三つ作ります。ゲーム中入手できるニンジンカードの山札を三つの山札の側に置き、デッキに加えなかったゲームカード十枚を手番のカウント用に適当な場所に置けば、準備完了となります。

 手番では、「外交」か「内政」、どちらかのアクションを行います。

「外交」は、山札からカードを二枚引くアクション。どの山札からカードを引くかは自由に選ぶことができます。また、山札が尽きた場合は、捨て札をそのまま新しい山札へと移します。

「内政」は、手札のゲームカードを場に置く「雇用」と、「研修生」の列に置かれているゲームカードを「正社員」の列に移す「昇進」を行うアクション。ゲームカードを「正社員」として「雇用」する際や、「研修生」を「正社員」にするときには、カードごとに必要なコストを、手札のゲームカードやニンジンカードを捨てることで支払わなければなりません。「研修生」として「雇用」するときはコストを支払う必要はありませんが、ゲーム終了時に「研修生」の列にゲームカードが置かれている場合はゲームオーバーとなりますので、それまでにコストを支払って「昇進」させておく必要があります。また、ゲームカードにはそれぞれ特殊な効果があり、その効果を使用できるのも「内政」のアクションの時となります。「内政」の際、「雇用」は一回しか行えませんが、「昇進」はコストが支払える限り何回でも行うことができます。

 ソロプレイは十手番でゲーム終了となり……終了時、「雇用」したゲームカードに記載されているBPの合計が十五点を超えていればゲームクリアとなります。

 世界設定はひどくナンセンスなカードゲームですが……ルール自体はきちんと真面目な感じの、しっかり考えさせられるゲームでした。一手番で行えるアクションは、カードを引く「外交」かカードを置く「内政」のどちらかだけなので、のんびりしている余裕などなく……毎手番、手堅く進めていく必要がある感じでした。ソロプレイでは、デッキに加えるカードは自分で自由に選べるので……ゲームの流れをイメージしながら、どのカードを選ぶのかが大事なゲームでもありました。BPが高いカードはそれだけコストも高くて「雇用」するのが難しく、かといってコストが安いカードばかりではBPが足りなくなってしまう。わずか二十枚ですが、デッキの構成から結構考えさせられる感じでした。

 何度か遊んでみて……今のところ、十二点が最高点。あと少し届かずといったところ。一プレイが短めなので、気軽に何度も遊べるのも良いところだなぁと思ったりもしました。

 

「シャドーハウス 2nd Season」

「シャドーハウス」第2期。

 影がそのまま実体化したかのようなシャドー家の人々と、それに仕える生き人形たち。その生き人形の正体は、記憶を消され、シャドー家に尽くすよう洗脳されている子供たちだった。シャドーの少女、ケイトは、自分の生き人形であるエミリコと共に、人の尊厳を踏みにじるシャドー家に立ち向かうことを決意するのだが……といった感じのお話。

 ゴシックファンタジー+能力バトルといった感じの作品。

 第2期では多くのシャドーと生き人形たちが登場し、それぞれ性格も関係性も違う彼らの個性が、コミカルな描写も入れながら描かれていました。個性豊かな子供たちの姿がたっぷりと描かれているからこそ余計に、子供たちを洗脳し、支配し、やがてはその存在をも奪い取ろうとするシャドー家のおぞましさがより強く伝わってきますね。

 ケイトとエミリコの二人だけではとうてい太刀打ちできないシャドー家の強力な大人たち。そして、今はまだシャドー家に支配されている多くの子供たち。一つの事件を解決し、シャドー家の秘密の一端を知ると共に、仲間となってくれる子供たちも少しずつ増やしてはいますが……ケイトとエミリコの戦いは、まだ始まったばかりといった感じでもありました。

 続きが非常に気になる作品。アニメでもこの続きを描いてくれると嬉しいですね。

 

 

「ホテル・ムンバイ」

 テレビ放映されたものを視聴。

 ムンバイ同時多発テロを題材とした作品。テロリストに占拠されてしまった豪華ホテル。武装したテロリストによって人々が次々と犠牲となっていく中、ホテルの従業員たちは、少しでも多くのお客様を守ろうとするのだが……といった感じのお話。

 激情に駆られるがままに、人々の命をためらいもなく奪っていく武装テロリストの恐怖とおぞましさ。悪夢のような状況の中で、それでも人としての矜持を守り、暴力に耐える人々の姿が胸を打つ作品でした。

 どんな理由があれ、テロを実行した犯人たちに情状酌量の余地などなく、決して許してはいけないと思いはするものの……でも同時に、テロ実行犯を断罪しただけでは根本的解決にはならないことも事実ではあり……ではどうすればいいのかと考えても、答えがまるで浮かばないことが悔しくもありました。

 ほんとに、どうすればいいのでしょうね……。

 

 

「トンコ」

 第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作の表題作含めて、三本のホラー小説を収録した短編集。

 輸送中の事故により、一匹で山中をさまようことになってしまった食用豚のお話である「トンコ」。親から虐待されている少女が、幸せな家族になるために皆でゾンビになることを望む「ぞんび団地」。自殺した妹の死の理由を知り苦悩する兄と、死後も苦しみから逃れられずにいる妹の魂……その兄妹の絆を描いた「黙契」。どの作品も、怖さよりも切なさや悲しさの方がより伝わってくるお話でした。

 個人的には、「黙契」が一番お気に入り。

 

 

「エスタブライフ グレイトエスケープ」

 遠い未来……東京の各地を極端にデフォルメしたような街「クラスタ」が作られ、分断されたそれら「クラスタ」に人々が住む世界。その「クラスタ」で生きることに疲れ、そこから逃げ出したいと思う人々の依頼を受ける「逃がし屋」の活躍を描いたSFアクション。
 独特な世界設定のユニークなSFアニメでした。最初は世界設定がよく理解できず、ナンセンスな描写にちょっと違和感を覚えたりもしていたのですが……キャラクターの個性と関係性が見えてきたあたりから、SFアクションとして楽しめるようになってきた感じです。
 第7話と第8話が個人的にはすごく好き。
 楽しいアニメだったと思います。

 

 

「天王寺さんはボドゲがしたい」第4巻

 女子高生ボードゲームコミック、最終巻。一応ネタバレがある感想になりますので、まだ読んでいない方はご注意下さい。

 一方的にライバル視している天王寺ユリアと対等な勝負がしたくて、ボードゲームを遊ぶ部活に入った南森ゆき。ユリアや部の先輩たちと遊ぶうちに、ボードゲーム自体の魅力にも惹かれていくことになるゆきだったが、ユリアに対してはどうしても素直な気持ちになれずにいた。そんなゆきは、他校との交流会の後、遂にユリアと二人用のゲームで対戦することになるのだが……といった展開。

 ボードゲームを題材にしたコミックであり、一人の少女の小さな成長を描いた部活青春物語でもある作品。一人のクラスメートをライバル視し、彼女に対してどこか鬱屈した気持ちを抱いていた主人公が、ボードゲームを通していろいろな人と触れ合い、真剣に遊び、また勝負することで、自分の心と向き合い、気持ちを整理していく様子が丁寧に描かれていました。ボードゲームを一緒に遊ぶことで、相手の気持ちに触れたり、意外な一面を知ったり……同時に、ゲームに勝つために真剣に考えることが、自分の心と改めて向き合うきっかけにもなっていって……ゲームを遊ぶ体験と主人公の気持ちの変化がきちんと繋がっているので、読んでいて自然と感情移入ができ、最後はしみじみと「良かったなぁ」と思えました。

 キャラクターの表情がころころと変わり、そのやり取りも楽しくて魅力的でした。人見知り故に普段はクールっぽく見えてしまうユリアの、ゲームをしている最中のコミカルな様子が特に可愛かったです。

 全4巻の中で、いろいろな種類・ジャンルのボードゲームが登場していて……ボードゲームをあまり知らない人への入門書的コミックとしても良い作品になっているように思えました。ルールの説明も分かりやすく、遊んだときの雰囲気も伝わってくるようになっていて……読んでいると、自然とそのゲームで遊びたくなってきてしまいます。

 総じて……全4巻、キャラクターの可愛さと共にボードゲームの魅力も感じられる、とても楽しいコミックでした。

 

 

「呪術廻戦」

週刊少年ジャンプ」で連載中のコミックのアニメ版。日曜夕方の再放送で視聴。
 呪術師と呪霊の戦いに巻き込まれたことで、恐ろしい呪物「両面宿儺」の指を飲み込み、それを宿すことになってしまった少年、虎杖悠仁。呪術師としての訓練を受けながら、仲間と共に呪霊と戦っていく悠仁は、自身の内に宿す「両面宿儺」や、その力を利用しようとする呪霊の企みと対峙することになっていくのだが……といった感じのお話。
 少年漫画らしいコミカルなやり取りや、迫力のあるアクションが描かれていながらも……呪術がテーマということもあって、不気味でグロテスクな描写がたっぷりある作品でもありました。他の少年漫画と比べると、救いのない非情な展開も結構あったように思います。
 お話の方は、「両面宿儺」や呪霊の企みを巡る、大きな物語の導入部分を描いたところでアニメ1期は終了……といった感じでもありました。今後どのような戦いが描かれていくのか、続きが非常に気になりますね。
 アニメ第2期の放送を楽しみに待ちたいと思います。