久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

ライトノベル

「デュアン・サーク 6 銀ねず城の黒騎士団 下」深沢美潮

積み消化。お城を舞台にした陰謀劇、完結編。 結構あっさり終わってしまった印象。陰謀劇といっても、それほどドロドロしてはいなくて、裏で糸を引いていた悪役側にも愛嬌があって憎めないのが、この世界らしいなぁと思ったりしました。城を守る黒騎士やオル…

「デュアン・サーク 5 銀ねず城の黒騎士団 上」深沢美潮

積み本消化。久しぶりに読みました。 未来の英雄ですが、今はまだ初心者冒険者のデュアン。歴戦のファイターであるオルバ。魔法使いであり王女でもあるアニエス。三人の冒険を描いたライトファンタジー。今回彼らは、王国の陰謀劇に巻き込まれてしまうが……。…

「<柊の僧兵>記」菅浩江

砂漠の民の中で鬼っ子として疎まれる白い肌の少年ミルン。村が謎の敵に襲撃されたことをきっかけに、少年は同じ白い肌の幼馴染の少女とともに、民の導き役である「柊の僧兵」を探す旅に出ることになる……というお話。 王道の冒険物語。ひ弱で疎まれていた少年…

「プシュケの涙」柴村仁

一人の女子高生の死を巡るお話。校舎の窓から飛び降り自殺をした少女の死の謎を解こうとする少年と、自殺の目撃者として彼の調査に巻き込まれてしまう少年。ミステリ風の青春物語。 高校生らしい未熟さや不器用さ、それ故の残酷さが印象的なお話でした。プシ…

「エメラダ 戦場の絆」襟木ササ

正体不明の機械たちと人類が戦争を続ける世界で、戦う才能があるせいで英雄扱いをされてしまっている少年の物語。 物語の設定は割とよくあるもので、展開も予想ができてしまうのですが、主人公である少年の心理描写がしっかりしているので、感情移入して楽し…

「火龍面舞」朱鷺田祐介

長く積んでいたものをようやく消化。 TRPG「深淵」の世界を舞台にしたファンタジー小説です。「深淵」は「RPGマガジン」で連載されていた頃から好きな作品で、システム等も買い揃えたのですが、数回しか遊んでいません。世界設定や雰囲気は好きなんですけど…

「プシュケープリンセス 2」刈野ミカタ

幻想世界の住人による王位争奪戦と、現実の現象世界で進行する計画を描いた学園物語、第2巻。王位争奪戦の敵の出方を待つ主人公たちの前に、前巻で姿を消した少女とそっくりの女の子が現れて……。 現象世界での陰謀を描き、登場キャラを整理して次巻に続く………

「スレイヤーズすまっしゅ。3 ねちゃねちゃの季節」神坂一

唐突に「スレイヤーズ」が読みたくなって、でも既刊は押し入れにしまってあってすぐには取り出せず、どうしようかなと思っていたところに都合よく新刊が発売。で、久しぶりに神坂一さんの「スレイヤーズ」を読みました。 収録作5本中、ナーガの出番があるの…

「プシュケープリンセス」刈野ミカタ

MF文庫Jライトノベル新人賞第5回佳作受賞作。幼い頃世界から消え、周囲から存在をなかったことにされてしまった妹。その妹のことを唯一人覚え続けている主人公が、幻想世界の住人である少女によって、王位争奪戦に巻き込まれていくというお話。 展開と説明…

「ロウきゅーぶ! 3」蒼山サグ

第3巻。女子バスケ部で一番大きな背を持ちながら、人一倍大人しく怖がりな少女愛莉の成長のお話。 前半のプールネタと、後半の主人公昴を賭けての試合と。萌えと燃えのバランスが今回は良い感じ。展開の先は予想できるのですが、試合の中で、技量の差の大き…

「ロウきゅーぶ! 2」蒼山サグ

第2巻。1巻は真っ直ぐなスポーツモノでしたが、今回はどちらかといえば小学生の友情モノ。ケンカ中の男子バスケ部の男の子と、女子バスケ部の女の子を仲直りさせるため、主人公が合宿中、東奔西走する羽目に。 バスケの試合も、練習シーンもありますが、前…

「ロウきゅーぶ!」蒼山サグ

第15回電撃小説大賞銀賞受賞作。小学生との恋愛という不祥事を部長が起こしたことで、高校入学早々バスケ部での活動を奪われてしまった主人公昴が、小学生の女子バスケ部のコーチをすることになってしまうというお話。 てぃんくるさんのイラストといい、粗…

「モンスターハンター 狩りの追憶」ゆうきりん

ゆうきりんさんの「モンスターハンター」4冊目。一応最終巻? 狩りの後、酒場に集まったハンターたちが、それぞれの思い出にある、自分にとって原点とも言える狩りについて語るという内容。短編連作の形で、5本のお話が載っています。 どれも短いながら、…

「モンスターハンター 長の資格」ゆうきりん

ゆうきりんさんの「モンスターハンター」三冊目。狩りでの意見の対立から、パーティを抜けて自分がリーダーになろうと考えるジーグと、ジーグが抜けたことで自分のやり方が間違っていたのだろうかと悩むエルメリアの二人。若者らしい悩みと成長がしっかりと…

「モンスターハンター 英雄の条件」ゆうきりん

ゆうきりんさんの「モンスターハンター」2冊目。 前巻はキャラ紹介だけで終わってしまったようなところがありましたが、今回はそれぞれの休暇の過ごし方を通して個性を描きつつ、それぞれの関係にも踏み込んでいて、しっかり描きこめていると思いました。 …

「モンスターハンター 狩りの掟」ゆうきりん

ゆうきりんさんによる「モンスターハンター」のノベライズ。新人ハンターが、ベテランと一緒に行動するうちに、ハンターとしての自覚や大切なものを学んでいく……というような流れ。王道でよいのですが、陰謀や事件が絡んだことで、ちょっとテーマがぼやけて…

「スレイヤーズ 1 リナとキメラの魔法戦士」南房秀久(原作・神坂一)

90年代半ばの声優ブームの頃、その人気の中心にあったライトノベル「スレイヤーズ」の児童書版。まさか「スレイヤーズ」の児童書版が発売されるとは……この展開は予想していませんでした。昔のことを思い出しながら、懐かしさもあって購入してしまいました…

「戦鬼 ―イクサオニ―」川口士

第18回ファンタジア長編小説大賞大賞受賞作。古代日本風の世界を舞台に、桃太郎を基にした鬼の復讐譚。反乱を起こした桃生から神宝を取り返すために、桃生に討伐された鬼の生き残りである温羅、忌み子として虐げられてきた巫女の梓、下級役人の川楊が旅に…

「冬の巨人」古橋秀之

世界の終末と再生の物語。 終わりのない冬の世界を歩き続ける巨人と、その背中に築かれた都市、というビジュアルイメージは素晴らしいと思います。その世界で、少年がどんな冒険を繰り広げるのかと期待して読み始めたのですが……随分あっさり終わってしまった…

「ぼくらの 〜alternative〜」5巻

「ぼくらの」の平行世界を描いた小説版、ついに完結。残された子供たちの戦い、引き継ぎ戦、それに世界の行く末。 前巻の終わりは、もうほんとに全滅エンドでも不思議ではない雰囲気だったのですが、見事にきれいにまとめられましたね。いやほんとに、前巻を…

「ぼくらの 〜alternative〜」4巻

カナ・コモ編とマリア編の第4巻。巻末には小説用の資料も掲載されてます。 ノベライズでは出番のなかった原作キャラが、意外な形で登場したりしてます。その扱いも納得のいくもので、本当に原作を理解したうえで小説のエピソードを作っているのが感じ取れま…

「らき☆すた らき☆すたオンライン」

原作コミックではなく、アニメのノベライズとして見ると、あの緩い空気は結構うまく描けているのではないかと思いました。販促ネタはやりすぎかなと思うところもありましたけど。でも原作コミックもアニメも、どちらも宣伝に活用していますしね。批判も多そ…

「ぼくらの 〜alternative〜」3巻

小説版「ぼくらの」第3巻。ノベライズとしては最高レベルの完成度だと思いました。原作をきちんと理解した上で、オリジナルの展開を描いているのがよくわかります。 原作では描かれなかったコダマの成長、養子となっているマコの暮らし、もう一つのアンコと…

「ぼくらの 〜alternative〜」2巻

小説版「ぼくらの」第2巻。アナザー地球でのオリジナルストーリーですが、しっかり「ぼくらの」の世界設定や雰囲気、テーマを理解した上で書かれているので、非常に面白いです。 2巻は、ワク、チズ、キリエのお話で、コミック版とは違った展開が語られてい…

「ぼくらの 〜alternative〜」1巻

アニメのオープニングテーマ「アンイストール」にはまった勢いで、コミックやライトノベルまで揃えてしまいました。 ライトノベルの方は、原作とは違う平行世界のお話という扱いのようで。コミック版とは一部登場人物が違っていて、展開も結構変わっています…

「"文学少女"と死にたがりの道化」野村美月

書評サイトでの評判が良かったので読んでみたのですが、確かに面白かったです。 脆くて壊れそうな少年少女たちの切ないミステリー。既刊四冊のうち、一巻目の本作はまだ大人しい方らしいのですが……登場人物の一人にひどく感情移入してしまったので、読んでい…

「グリーン・イリュージョン」杉江久美子

二〇〇三年度ロマン大賞入選作。 随分古典的なテーマの小説だなぁ、というのが最初の感想でした。環境汚染が深刻な事態になった世界に、他人の思考を幻として見てしまう力を持った子供が産まれ始めて。その力を持った子供の一人である伊吹は、ある日、見知ら…

「はじまりの骨の物語」五代ゆう

第4回富士見ファンタジア長編小説大賞、大賞受賞作。HJ文庫で復刊*1されたので、購入しました。恥ずかしながら未読でしたし。 北欧神話をベースにした世界を舞台に、復讐と再生の物語が描かれているわけですが……一巻でやるには詰め込みすぎのような気がしま…

「12月のベロニカ」貴子潤一郎

第14回ファンタジア長編小説大賞大賞受賞作。積ん読だったのを読みました。富士見ファンタジア文庫の小説を久々に読んだわけですが、えらく硬派な作品だったので驚きました。 女神の依代として、死ぬ間際まで眠り続ける運命の女性と、その彼女を守ることを…

『塩の街 wish on my precious』有川浩

今更という気もしますが、読んでみました。第十回電撃ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞作。 噂には聞いていましたけど、確かに、前半と後半の展開の差がすごいですね。叙情SFのつもりで読んでいたら、途中から怪獣映画に変わってしまったような感じとでもいいまし…